社会福祉法人 光風会
花信風 子どもの問題研究所
風 精神福祉相談支援センター
陽 本部
花信風

 
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第13号

-目次-
1. 黒漆桶裏盛黒汁
2. Nothing About us,without us!
3. それで良いのか?! 日本の福祉
4. これからはハコモノではなく中身
5. 行方市精神保健福祉相談から
6. 困っているのは誰ですか?
7. 福祉サービスという名の就労
8. やきもので環境汚染?
9. 子どもの問題研究所派遣事業
10.あなたの職場環境は?
◆編集後記

1. 黒漆桶裏盛黒汁(吉田昭久)
2006年12月13日、第61回国連総会は、「障害のある人の権利条約(以下「条約」)を採択しました。新聞報道等ですでにご承知のことと思います。国連加盟192ヶ国の満場一致による採択と報道されましたから画期的なことです。

1981年の国際障害者年と、その後10年にわたる障害者の人権確立キャンペーンが国連によって展開されましたが、この間の日本における障害児・者の置かれた状況を振り返ってみてもわかる通り、国際的にも障害児・者「反差別」の流れは進展しなかったわけです。

◆障害児・者の完全平等

「条約」の英文名は、Convention on the Right of Person with Disabilities で、内容面で言えば、障害のない人との実質的な平等を確立しようとするものです。

 労働といった、人間としての生活の質(Quality of Life)を確保するための前提については、募集、採用、昇進などの諸場面で障害を理由にした差別が禁じられました。この内容に対する具体的施策の実現には多くの難関があるのは充分に想像できることです。

また、教育の面では、インクルージブ(Inclusive・含む)教育を原則としています。現状の日本の学校教育現場は、障害の有無や内容による分離教育を原則としていますから、インクルージブ教育を実現するためには多くの課題に直面せざるを得ません。

 さらには、障害児・者を虐待や暴力、搾取から保護し、適切な措置を取らなくてはならないとされたこと、障害のある女性や子どもに対する特化した条文が設けられたこと、交通や建物、情報・通信等へのアクセスを容易にする施策を講じなければならないこと等々、従来からわたくし達のもつ障害児・者観を根底から変革しなければならない視座がこの「条約」には数多くあります。

◆条約成立の前景

 この「条約」の成立に先立ち、1987年から1989年にかけて、かの精神障害者「解放」の街トリエステのあるイタリアや、社会福祉の様々な領域で先進国とされるスウェーデンで、障害者の人権条約化の取り組みが行われたのですが、時期尚早で成立しませんでした。

ところが、1990年アメリカで、障害のある人に対する差別禁止を内容とする「ADA法(Americans with Disabilities Act・障害を持つアメリカ人法)」が成立します。

アメリカではご承知のように、1960年代から「反差別」運動が激しく展開されましたが、これは主として、人種差別に対するものでした。

長い「反差別」運動の歴史に、北欧を中心として国際的な動きとなって来た障害者に対する権利の平等化の運動が反映して、多人種国家アメリカで「ADA法」を成立させたのでした。

ここ4〜5年のイラク戦争に示すアメリカという国の体質とは逆の、私の体験したステキな国アメリカの体質が「ADA法」に示されています。

◆「条約」審議への障害者の参画

「条約」の策定には、最初から最後まで障害者NGO、つまり障害のある当事者の参画を徹底させたことが特徴的なことでした。

「Nothing about us , Without us(私たちのことを、私たち抜きに決めないで)」が、種々の障害NGO間での一致したスローガンでした。実質的な審議を担っていた国連内委員会が「各国政府は障害NGOと積極的に協議し、政府代表団にも当事者を入れるべき」と決議して、各国がそれを尊重し実践したのです。

 日本からは、13の障害者団体で組織した、「日本障害フォーラム」がNGOとして参画しました。政府代表団の顧問として、車椅子に乗った弁護士・東俊裕氏が参席しています。

 1970年代初め、脳性マヒの青年の乗る車椅子を押して、障害者「反差別」の訴えを運動として展開した一人として、昔日の感があります。

◆日本における学校教育の対処は

 ところで、ノーベル賞学者、理化学研究所所長の野依良治博士を座長とする教育再生会議(以下、「会議」)の審議の模様が種々報道されていますが、その内容には驚かされることがいくつもあります。

中でも「いじめ」を行う児童・生徒に対する、出席停止処分の提案です。たとえそれが「いじめ」を行った児童・生徒だったとしても、「教育を受ける権利」を剥奪するといった、人権の侵害となることを平然と提案して憚らない「会議」メンバーの精神性の低さに驚きます。

 集団であれ個人であれ、極端な「いじめ」を行うような児童・生徒は、生育状況や家庭環境といった心理的背景の問題を、不幸にして必ず抱えています。出席停止といった処罰で、「いじめ」現象の背後にある心の問題は解消しません。

「いじめ」の起こる学校教育の場で、教師による適切で丁寧な児童・生徒指導が、人間関係性形成の援助といった、社会化された場面の設定を通して行われる必要があるのです。「いじめ」っ子、「いじめ」られっ子のいずれかを転校させるといった姑息な方略を認めることなどは論外です。

 幼少時から必要な、自我形成上の課題である社会性の欠如を示す「いじめ」現象への対処方略は、「その時」の、「その人間関係」の作り出す、「その場」における問題性を的確に把握することに基づく処理法を、「いじめ」っ子、「いじめ」られっ子双方に、具体的に教示し指導することです。

学校教育の実際的な場における児童・生徒指導によることが必要・不可欠と、私の臨床的体験と研究とを基に考えています。

 「会議」で強調される愛国心教育の実践を先取り的に行った教材「心のノート」は、その配布対象校から障害児教育諸学校を除外したこともまた、忘れてはならないことです。

 「条約」は、「いじめ」問題への対処の仕方を含めて、障害児・者への「特別な配慮」といった、不必要な「合理的配慮(Reasonable Accommodation)」を否定し、差別と位置づけたのです。

ちなみに、日本の「ろう教育」で実践課題となっていない「手話」が、国際的な水準でいう「言語」に位置づけられたのも画期的なことです。

◆合理的配慮とは

 「条約」は、「合理的配慮」を、「人権や基本的自由の享受または行使することを保証するに当り、特定の場合に不可欠で必要かつ適切ではあるが、一方的または不当な負担を課さない程度の変更や調整」と位置づけています。「条約」は、この「合理的配慮」の視座から障害者の権利を提起していて、「合理的配慮」義務が尽くされない場合を「差別」としているのです。

 しかも、重要な視点は、先にも触れましたが、障害に基づく「差別」には合理的配慮の否定も含まれ、障害に基づく区別は基本的に差別につながるとしていることです。もし、区別した方が「合理的配慮」と言う場合には、その立証責任のあることが明示されました。

 日本では学校教育法によって、障害のある子とない子を分離別学としています。障害の種類と程度によって障害のある子の方を分類し、一人ひとりのニーズに則して特別支援教育として保障するとなっています。これを「合理的配慮」として立証するのは大変なことです。

◆「条約」における障害者児・者の位置

 「条約」では、「障害」、「障害者」の定義を明確に提起していません。概念規定として提案しているにすぎません。それは、「障害のある人には、種々の障壁との相互作用により、社会参加を妨げることがある長期の身体的、精神的、知的、感覚的なインペアメント(impairment・損傷)を持つ人を含む」といった言及に止めています。現状の世界各国における文化、宗教、社会制度等々を考慮してそれぞれの国情を考えれば、充分に理解可能なことです。

 しかし、「差別」については明確に定義し、従来の差別概念が異なる取り扱いという「作為」を問題としたのに対し、この「条約」では「合理的配慮」を用意し、提供しない「不作為」を差別としています。「合理的配慮」がないために社会システムを利用できない障害児・者が数多くいることを問題とし、社会的環境要因を重視した「障害」、「障害者」の位置づけとなっている点は重要です。

◆国連・世界保健機構(WHO)の障害観

 ご承知のように国連・WHOは、人間の生涯において創り出される障害について国際的な共通基盤の確立を図ってきました。その中に1980年に開発した国際障害分類(ICIDH)がありましたが、2001年にこの分類の考え方を大幅に改訂した国際生活機能分類(ICF)を発表しました。

ICFとICIDHとを比べての最大の特徴は、病気や障害がある少数の人だけを対象とするのではなく、全ての人間の健康状態や生活機能の視座から、生涯にわたる人間の在り方を位置づけようとしたことです。

家庭・学校・職場・地域といった社会的側面における個々人の役割やそれぞれの参加状況の位置づけを重視し、人の「くらし」の中で使われる道具や住環境、人と人との関係性の質と量などの環境因子が、重要視されるものとなったのです。

ちなみに障害者の規定は、「先天的か否かにかかわらず、身体的または精神的能力の障害のために、通常の個人的生活ならびに社会生活に必要なことを、自分では完全または部分的にできない人」となっています。この視座は子どもにも通底します

 (社福)光風会活動の両輪と位置づけている「茨精研・ICCAM」は、「共生共育」が学校教育の重要な課題であるとし、1970年代当初から現在まで、最近「文科省」も取り上げるインクルージブ教育=障害児と共に生き・共に学ぶ教育」の実現を、研究を踏まえて主張して来ました。障害児とすべての子どもたちが共に「生きる」環境が、相互の働きかけが、発達的観点から重要であると「茨精研・ICCAM」は指摘してきました。

◆今後の日本における障害児・者の位置

 「茨精研・ICCAM」の広報・通信紙「しせいけん」で今まで何度も取り上げて言及して来たことですが、教育基本法が「改悪」されたことを踏まえた、教育関係法の改訂が行われていることは、新聞報道等でこれまたご承知のとおりです。今回の「条約」を国連総会が採択したことの影響は、「改悪」したばかりの教育基本法の条文に種々の問題を突き付けることになります。

特に学校教育法関連のうち、現在の特別支援教育の具体的な実施内容や方法上の課題に、「条約」は影響を及ぼさざるを得ません。

国連総会で賛成した以上、日本の国会における批准は必要条件ですし、条約内容に即して諸種の国内法を整理・整頓することが必然となるからです。

◆黒漆桶裏盛黒汁

「こくしつ つうりに こくじゅうをもる」

と読む禅語です。内も外も真黒なうるしの桶に真黒な液体を入れたらどうだ という「問い」です。

黒に黒を重ねる。

まったく異なった「もの」なのに

一体となる。

絶対的差別を超えた絶対的平等を感得しろ という公案です。「槐安国語」という江戸中期の禅僧、白隠禅師の書にあるものです。

精神障害児・者が、ア・プリオリに一個の「人間として」持つ人権が問題とされ始めてから、まだ時間が経っていません。

全ての障害児・者が、ことばの本質的な意味において「平等」に「生きる」ことの出来る世界をわたくしたちが造り出すのに、これからどれだけ時間を必要とするかわかりませんが、(社福)光風会は、実践的に障害者自立支援法を活用し、諸活動を展開していく所存です。

「社会福祉」という自らの営為を点検することは、「条約」の精神を現実化する上で必要・不可決の要件となると考えています。


2. Nothing About us ,without us! 我々を抜きにして、我々について語るな

障害者人権条約制定に関わった障害当事者たちの合言葉

昨年、国連で「障害者人権条約」という画期的な条約が制定されました。これから、日本政府がこの条約を批准するか否か、精神福祉に関わる私たちの働き掛け方が、問われています。

そこで光風会は、「障害者人権条約」について、皆さんと一緒に学習する企画を、今年度の活動計画に組み入れました。

◆条約作成に障害者自身が関わる

日本障害フォーラム(JDF)発行の冊子によると、全世界には障害を抱えている人が約6億いるとのことです。世界的レベルで見渡した時、障害者の多くが戦争の犠牲者であり、貧困の中に置かれています。過去、第二次世界大戦下に、ナチスドイツが行ったガス室大量虐殺の最初の犠牲者は障害者たちでした。

現在においても、戦争後放置されたままの地雷や劣化ウラン等で、一般市民が被害を受け、様々な障害を抱えています。こうした障害者の人権や生活を守ることを目指し、国際的な条約をつくるという大きなうねりが起こったのです。

2002年国連で、障害者の権利条約をつくるための特別委員会が開かれました。2004年の作業部会では、40名の委員のうち障害NGOの代表が12名。身体障害者だけでなく精神障害者、支援者が同行して参加した知的障害者も含まれています。

日本からは、当会の今年度企画による学習会講師の東さん達が、JDFの推薦を受け、政府代表団に加わって、条約の実現を目指しました。

◆手話を言語と認める

昨年「大阪障害者自立セミナー2006」に参加し、東さんの講演「障害者権利条約と差別禁止法」を聞く機会がありました。このことについては、NPO茨城県精神障害地域ケアー研究会編集・発行の「FAX通信69号」で報告しました。その内容を紹介します。

2006年8月、国連で『障害者権利条約』草案が採択されました。この条約で初めて『合理的配慮の否定は差別』であること、『手話の言語性』が確認されました。『合理的配慮の否定』とは、『差別する意図はないが、結果的に障害を抱えた人たちが利用できないような状態』の全てを言い、そのままにしておくことが『差別』であると定義されたのです。

『手話の言語性』について、私は言語として認められていなかったという事実に驚きました。国連で『手話の言語性の確認』にたどり着くまで、社会主義国中国がそれを認めず、盛り込むまでにかなり難航した課題だったようです。

『中国は少数民族で成り立っている。それぞれが自分たちの言語を持っているため、手話を認めたことで、全ての言語を認めろという事態を招くのでは』と、中国の事情を講師の東さんが説明しました。

さらに、東さんは当事者の一人として、『障害者権利条約』は採択までに五年を費やし、その間『Noting about us, without us !我々を抜きに我々を語るな』と障害者が主張を続けた成果であることを訴えました。

◆「人権」について学習する機会を 

今年の5月20日(日)、東さんが関わる全国自立生活センター協議会の主催で、「条例をつくって障害者差別をなくそう!千葉県の条例づくりから学ぶ」をテーマに、各県で障害のある人の差別を禁止する条例づくりを推進するために、シンポジウムが開催されます。

 茨城県にも、障害者差別を禁止する条例づくりのうねりが起こせるか。

今年の学習会設定の意図は、障害児・者に関わる私たち一人ひとりが、「人権」について学習しなければならないと考えたからです。(高島真澄)

JDF(日本障害フォーラム)とは

目 的:第二次「アジア太平洋障害者の十年」及びわが国の障害者施策を推進するとともに、障害をもつ人の権利を推進することを目的に、障害者団体を中心として設立された。

事 業:
1) 国連・障害者の権利条約の推進

2) 第二次「アジア太平洋障害者の十年」の推進及びアジア太平洋障害フォーラム(APDF)に    関すること

3) 「障害者基本計画」をはじめとする国内の障害者施策の推進

4) 障害をもつ人の差別禁止と権利に係る国内法制度の実現

   参考文献:「権利条約に期待するもの−障害者の人権を守るために」パンフレット,

   日本障害フォーラム(JDF)障害者の権利条約推進に関する委員会,2006年7月発行

3. それで良いのか?!日本の福祉

全国精神障害者社会復帰施設協会研修報告

障害者自立支援法が施行され、精神障害者社会復帰施設の「施設」という概念での活動を終了し、「事業」というかたちでの展開が始まりました。光風会は、地域活動支援センターT型、地域活動支援センターU型、自立訓練(生活訓練)事業、相談支援事業、就労継続支援事業B型等、2007年4月から始動しています。

2007年3月26・27日の2日間、「全国精神障害者社会復帰施設協会」の研修会に参加しました。施設長・管理者を対象とする研修会だったため、40代・50代の管理者が中心でした。

分科会は、「自立訓練」「就労支援」「相談支援」「居住支援」「地域活動支援」の5つの分科会場に分かれて行われました。

◆ユーザーの戸惑い・抵抗

 「自立訓練」という言葉に対し、「訓練って何をするの?」「どんな風にやるの?」と、ユーザーから不安の声が上がりました。ユーザーは、「料理を出来るようにしなくちゃいけない」「一人で買い物が出来るようにならなくちゃいけない」と「自立するために行うプログラムをやらされる訓練」と考えたからです。「自立訓練」という言葉の響きにユーザーは抵抗を感じたのだと思いました。

「実際に、『やらせる訓練』が必要になるのだろうか?」という疑問を感じたことと、何が大きな課題として上がっているのか・自立訓練に求められるものは何かを知り、今後の活動に活かしたいと考え、「自立訓練」の分科会に出席しました。

◆管理者の質

分科会には、北海道から沖縄まで全国規模の参加者がありましたが、医療法人立の生活訓練施設(援護寮)の管理者が多く、生活支援センターからの参加は私だけでした。

自立訓練(生活訓練)事業は、旧制度である「生活訓練施設(援護寮)」からの移行が想定されています。そのため、質問内容は、援護寮の移行に関することが目立ちました。

その中で、「精神科デイケアと自立訓練では何が違うのか?」「精神科デイケアに昼間は通わせて、夜は現在の援護寮で生活訓練をさせても良いのか?」という内容の質問がありました。

自立支援のための医療として位置づくデイケアと、障害者自立支援法における自立訓練との区別が分からずに、混ぜこぜになっている管理者が居たことに驚きました。

 そして、自立訓練(生活訓練)が個別給付であることから、財政面の不安が事業者にも募っているようです。実際、分科会ではスタッフをリストラにすることについての話題が出ました。リストラを回避する手段の一つとして、「スタッフの首が切られるから利用者をデイケアに行かせて良いか?」「現在、援護寮でやっていることをそのまま訓練として認めてもらえるか?」という発言がありました。自立訓練を強制的に受けさせようという考えです。これでは、法の内容を本質的なところで理解していません。財政面での不安が募っていることは、どこの事業者も同じです。しかし、このような発言は、誰の、何の自立を支援することにつながるのでしょうか。

ユーザーだけではなく、法の施行に対する戸惑いのあまりに、事業内容を理解することが出来ていない管理者が多いことを目の当たりにし、障害者自立支援法施行の難しさを痛感してきました。

「移行を目前にして、このままの状態で本当に大丈夫なのだろうか・・・もっと、事業者が勉強する必要があるのではないか」と、不安と情けなさを感じました。

残念ながら、分科会に参加して得るものはありませんでした。

◆自立訓練とは何か

 「自立訓練」とは、2年という期限の中でユーザーは、スタッフと一緒に自分で計画を立てて、自分自身と向き合いながら立てた目標達成を目指す事業です。

訓練という言葉に対しての抵抗を感じていたとしても、実際の生活の中で生活上の訓練は必要です。しかし「自立訓練」で大切なことは、ユーザーはやりたくないことを目標にする必要はないということです。つまり、スタッフが「やらせる訓練」ではありません。

生活をする上で「何が必要なのか」をユーザー自身が気付き、課題に取り組む姿勢をどう作り出すかをスタッフは支援すること。そして、ユーザーが気づくことが出来ない場合には、丁寧に課題を教えて一緒に向き合っていくことがスタッフの仕事になります

◆知恵比べ

何がユーザーの生活なのか、どの様な生活を望むのか、何が出来るようになりたいのか、生活のスタイル・リズムとは何か等々、自分と向き合い、好きな様に書き込むことの出来る「私のノート」を活用し、ユーザーとのミーティングを中心に活動を始めています。「私のノート」は、ICF(国際生活機能分類)を基に光風会が独自に作成したものです。

ユーザーが「楽しく」、「無理はせず」、「出来ないことは悪いことではなく、どんな人にも出来ないことがある」、「不得意なことを減らすだけではなく、得意なことをもっと得意にすることも訓練」と光風会は考え、取り組んでいます。

今後は、現在の障害者自立支援法に対する実際上の「やりにくさ」や現実的な「足りなさ」を点検して、具体的に提言していく事が必要です。まずは、そのためのデータを集めること。「この法理は悪法だ」と言っていても何も改善はしません。「自分たちは○○をする。だけど、こういうところがあるから出来ない。やりにくい」ということを社会的に伝え、何が「悪法」なのかを提言していくことが求められていると考えます。

地域の資源を活かしつつ、事業という新しいスタイルで何を行うのか、スタッフとしての知恵の見せところであると思っています。

近い将来、「福祉のやり手営業マンになるための成功必勝法!」なんてタイトルの本を出版できたらと考えています。…悪い冗談!

(出澤華奈子)

4. これからは、ハコモノではなく中身〜新しい契約書から〜

福祉は、戦後半世紀にわたって、措置制度のもとで対象者に対する援助が行われてきました。措置制度とは、市町村などの判断で、援助が必要な人に対して、施設に入所させたり、在宅での援助を受けさせたりする制度です。

措置制度に対しては、利用者が自分の受ける援助を選べないという批判がありました。1990年代後半から、「社会福祉基礎構造改革」のもと、介護保険法による介護サービスなどに、契約制度が取り入れられました。初めて、利用者と事業者の間に、お互いが合意して契約を結ぶという双方向性が生まれました。

生活支援センター「風((FOO)」は、2001年の開設当初から、ユーザーと契約書を取り交わしています。今までは、地域生活支援センター「風(FOO)」という「施設」とユーザーとの契約でした。つまり、来館利用だけでなく、定期・不定期の訪問や、緊急電話相談など、支援の形態は分かれても、それぞれに対して契約するわけではなく、「施設」と契約してきたのです。

4月からは、「地域活動支援センター利用契約書」と「生活訓練事業利用契約書」の2つを用いた「事業」に対しての契約になりました。

契約書が事業ごとに分かれたことにより、ユーザーにとっては、自分に必要な支援とは何かを考える機会になります。私たち支援者は、各事業の「売り」とも言える、機能や特徴を明らかにしなくてはいけません。活動支援センターでは、クラブ活動や食事会などを通してユーザーの「活動」を支援することになります。生活訓練事業では、各ユーザーの生活に関わる課題を、どのように支援するかがカギとなります。

「ハコモノ行政」への批判が叫ばれて久しいわけですが、福祉は「ハコモノ行政」で甘い汁を吸っていた中の一つと考えられています。「○○福祉施設」という建物を作れば、中での福祉活動のことは分からなくても、「福祉なのだから何か良いことをやっているのだ」とする世間の眼があるからです。例え、施設の中で虐待のような人権侵害が行われているとしても。

これからは、ハコの中身ともいえる、事業の内容が問われます。契約書は、事業の内容として、利用者ができること、事業者がすることを明確にした文書にし、利用者・事業者双方がその内容を共有するために必要です。

「風(FOO)」の契約書には、「相談内容は、『風(FOO)』職員や援助者以外の人には、あなたの了解がない限り絶対に話しません」という守秘義務を明示しています。個人情報を扱う事業所として、一見当たり前のようですが、誰もが自分の知らないところで自分の情報をやりとりされないという、人権に関わることとしてとらえています。契約書は、事業内容に関する「約束」だけでなく、利用者の人権を事業所が保障した「約束」であることが重要です。

契約書はあればいいというものではありません。契約書の文言は分かりやすく且つ誤解の無い文章でなければなりません。契約書によくある「甲」「乙」や「前項に定める」といった言葉は用いないようにしています。

高齢者や障害者が詐欺にあう事件が相次ぐ中、契約を結ぶこと・結ばないことそれ自体が、社会的課題への支援です。

欧米文化から持ち込まれた「契約」は、今や日本でも様々な場面で持ち出されます。スタッフ、ユーザー共に、いい意味でも悪い意味でも「契約」を知らなくてはならなくなりました。          

〈参考文献〉

1.「社会福祉施設運営(経営)論」 全国社会福祉協議会発行 2001年

2.「契約型福祉社会と権利擁護のあり方を考える」 日本弁護士連合会編 あけび書房 2002年

(川島 麻子)

5. 行方市精神保健福祉相談から
◆行方市の発足と相談

 光風会では、旧玉造町から「こころの相談」の相談員の委託を受け、2002年度より毎月1回委託相談員の派遣という形で、地域住民からの相談に携わってきています。 

行方市は平成18年4月に、旧麻生町・旧北浦村・旧玉造町の三町村が合併してできました。旧玉造町の「こころの相談」が行方市の相談となった現在も、旧北浦地区で行われてきた精神科医師による相談と平行・連携して、行方市全地域からの相談を継続しています。

相談は行方市玉造保健センター内で行われ、市の保健師と2人1組で相談者に応接しています。相談は予約制で、1名50分程度の1日3名以内となっています。

 相談内容は多岐にわたりますが、以下のような特徴があります。精神科未受診のケースが多いこと、家族または近親者からの相談が多いこと、認知症の症状と関係する高齢者同士にまつわる相談も多いこと、などが特徴となっています。

◆相談内容例=精神科未受診の若い女性

 若い女性からの、「眠れない」ことへの電話相談から始まったケースです。電話に応対していた保健師の薦めで、「こころの相談」へ来ました。

話を聞くと、訴える内容が次々に変化してゆくのです。そのうち、他にも相談に行っていることが分かってきました。最後には、相談に行っている女性相談員に対する、不満とも恋慕の情ともつかない内容に変化していきました。精神保健相談としての「こころの相談」にはなじまない内容と判断して、一旦は相談を終了しました。

しかし、その後も一日のうちに頻回の電話が行方市に入りました。そこで、話題に出てくる女性相談員に連絡を取りました。「実はその相談者からストーカー的な被害にあって困っている」と、逆に相談される事態となり、女性相談員と面談することになりました。面談で、女性相談員だけでなく、消防署、保健所、町の福祉課、一般科・精神科病院など、電話相談から始まってあらゆる相談窓口に何年にもわたって、相談を繰り返してきたことが判明しました。

その他にも、卒業した小学校の女性教員の自宅に、継続して相談の電話をかけていることなどが分かりました。

結局、事実上の引きこもり状態が数年にわたり継続していること、不眠があるらしいこと、自殺をほのめかすのが多いことなどから、関係者が一致して精神科の受診を勧める方向で対応することを確認し合いました。

その後、徐々に電話の回数も減り、女性相談員へのストーカー的な相談もなくなりました。しかし、引きこもり状態は変わらず継続していて、今後どのように変化してゆくのかが心配なケースです。

◆相談内容例=引きこもり二十数年の男性

 若いときに都会に出て、統合失調症が発病した様子なのだが、何処も受診せずに、働いている兄妹の家に転がり込んで引きこもったまま、二十数年が経過していたという男性のケースです。

初夏のある日、突如として、実家まで80q以上の距離を裸足で歩いて帰宅し始めたのです。自宅近くまで来て、田んぼのあぜ道で行き倒れとなり、浮浪者の行き倒れとして警察に通報されました。家族に引き渡されたものの、数日経ってから言動がおかしく家族では対応できないとの相談で、保健師と共に訪問することになりました。

保健師と2人で家に入ると、本人は逃げ出してしまいました。家族が警察に保護願いを出したことから、国道の往来のど真ん中ですさまじい浮浪者のような姿の本人に、保健所と警察官を交えて精神科受診を勧め、近くの精神科を受診することになりました。診察の結果、統合失調症との診断で、即日入院となりました。

入院後、数日もしないうちに普通に会話ができるようになり、1ヶ月後には家族から退院後の生活の相談を受け、3ヶ月後には実家近くにアパートを借りて、生活保護を受給しながら生活することになりました。

このようなケースは希なケースですが、実際の相談場面では数年間の引きこもりはざらです。相談は、本人ではなく家族からの相談として始まることが多いのですが、精神科受診が必要な場合には少しでも早く受診と治療へとつなぐことが、地域の相談では大切だと感じています。
 

◆行方市の地域性との関連

 行方市は農業主体の田園地域であるとともに、気候温暖で太平洋沿岸に近く、比較的安価な別荘地としても人気がある地域です。近年、別荘に県外からの移住者が増えてきています。移住者の中には、精神保健的な課題を抱えた人もいることから、相談のケースとして持ち込まれることがあります。

 高齢の単身者で、認知症的課題を抱えていると思われるケースがありました。

移住者であるために、周囲の人間への警戒心が強く、周囲の人や近寄ってくる人に対して攻撃的に振る舞うため、近所の住人から苦情が上がりました。しかし、市が介護保険対象者として関わろうとしても、聞き取り調査も拒否するのです。

別のケースでは、精神障害の息子を抱えた老夫婦が終の棲家として移住してきたのですが、引きこもり状態にある息子が攻撃的で困っているという相談もありました。一時的な相談では対応しきれない課題が出てきています。

◆行政との連携

 4ヶ月に一回は県精神保健福祉センター、鉾田保健所、市福祉課、保健センター等の出席によるケースカンファレンスが行われ、「こころの相談」担当者として毎回出席しています。

この場は、行方市全地域から、県や保健所、市や保健センターの総合的な対処と処遇が必要なケースが出されてケース検討するというものです。地域の精神保健福祉関係者が揃う、障害者自立支援法の枠組みにある「障害者自立支援協議会」に近い形の会議になっています。

(鈴木 宗夫)


6. 困っているのは誰ですか?〜市町村受託相談事業から〜

☆光風会は、行方市・桜川市・笠間市からの保健的相談事業を受託しています。

◆市町村の相談窓口にて

その1 小さいお子さんを連れた20代の夫婦

「五十才になる母が一日中寝てばかりいるんですけど、どうしたらいいか分からなくて。人が変ったようで、子どもが母の近くに行くと、うるさいと言って殴るんです。子どもも怖がっています。」

…病院は行っているんですか?

「三年前から行っています。」

…主治医の先生とは会いましたか?

「私たちも一緒に診察室に入っています。いつもじゃないですけど。」

…診断は聞いていますか?

「うつ病になる一歩手前だと言われました。」

  …三年たっても一歩手前のまま?

「ええ」

…どんな薬を飲んでいますか?

「わかりません。」

…あなたが困っていることを先生に伝えましたか?

「先生は、私たちには何も聞いてくれないんです。母に、眠れるかどうかなど一言二言聞いて診察が終わるんです。」

…病院にケースワーカーという人がいるのを知っていますか?

「聞いたことありません。」

住民健診の時、保健師さんが母親のちょっとした表情の変化に気がついて、相談につながった方です。

精神保健福祉が市町村の仕事になり、保健所の保健婦が「薬を飲んでますか?」としか言えずに「アリナミン保健婦」と揶揄された時代は終わりのようです。

しかし、医療側が本人や家族に適切な情報を提供しないと、相談員としては助言しようがありません。まずは、困っていることをメモにして医師に渡すよう伝えました。

その2 10代の若者

「カウンセリングをしてくれるんですよね?」

…カウンセリングって?

「僕は学校に行けなくて、適応指導教室でカウンセリングを受けていたんです。でも、もう中学を卒業したから教室でのカウンセリングは終わりと言われ、ここを紹介されたんです。」

…今までのカウンセリングでは、具体的にこういうことをやりなさいとか言われてた?

「いいえ。自分の心に向き合う手助けをすると言われていました。」

カウンセリング…。そう言われた時は、日本語では何ていうんですか?と、聞き返すことにしています。

中学生に「自分の心に向き合う」なんて抽象的なことを言って何の役に立つのでしょうか。具体的に困っていることに具体的に対応して、「心」はその後についてくるものだと考えています。

それにしても、義務教育期を過ぎた「元・不登校児」に対応するのはどこの誰なのでしょう。

その3 薬物中毒の娘を持つ父親

「金がなくて困ってんだ。娘が病気だがら何とかなんねぇか。生活保護は近所にみっともねぇから嫌だしよぉ。」

薬物による精神疾患では、障害年金はおりません。自ら招いた「疾患」だからです。しかし、病気になったのは本当に本人のせいでしょうか。WHOのICF(国際生活機能分類)では、障害を、環境因子等々の相関関係と捉えているのです。

数回の相談で金銭的な問題は一応解決しました。しかし、解決してよかったのだろうかと今でも思っています。なぜなら、子どもに支給されるお金を親が使っている「気がする」からです。

多くの場合、障害年金を親が管理しているように感じています。そのお金を吸い上げることが「障害者自立支援法」の目的かもしれません。

その4 20代の女の子

予約なしで突然あらわれて…

「今、カッターで手首を切ってきたんです。」

…ふーん。見せて。

「死にたいんです。」

…それで?

「境界例人格障害」と診断された方です。今の市町村の人員体制では、適切な対応をするのは困難です。保健所等、県の支援体制が必要ですが、障害者自立支援法に「保健所」という文字が出てきません。

さて、彼女は県外の有名な病院に通院しています。「医療機関との連携」と言葉でいうことはたやすいのですが、医療と保健福祉との距離は物理的にも遠いのが現状です。

 相談終了後、父親が困った顔をしつつ居丈高に迎えに来ました。困っているのは誰でしょうか。

その5 70代の夫婦

「もうすぐ50才になる息子のことなんですが。」

…どうしました?

「18才の時から、一歩も家から出たことがないんです。私たちが死んだらどうなるのかと思って…。」 

相談室にこもっていては解決できない例です。

訪問(アウトリーチ)が必要ですが、光風会と市町村との契約条項には、訪問が含まれていませんでした。今年度から、保健師と同行して訪問できる契約としました。

30年間の隔絶生活。精神疾患かどうかも不明。訪問できる関係性をつくることは容易ではありません。

21世紀の日本。地域にはこんな方々がまだいるのです。

◆最後に

困っているのは、「当事者」ですが、当事者って誰でしょう。相談にきた方?障害者?家族?

相談を受けた側も当事者です。相談を受けた人がきちんと困るべきです。もちろん、受けた側が「困ったなぁ…」と言っているだけでは話にならないのですが、「相談を受けた私」が社会状況をどう変えていくかの問題としてとらえないと場当たり的な対応に終わってしまいます。

下の図は、ICFを簡略化したものです。詳細は稿を改めますが、この図は、障害者を把握するためのものではなく、「私」自身の課題を表しているのです。

(斎藤 悟)


7. 福祉サービスという名の就労

今までの「花信風」でお伝えしてきたように、障害者自立支援法により、三障害が一元化し、今までの複雑な施設中心の福祉体系は六種類の事業に再編されました。

「就労」に関していえば、「就労継続支援事業」と「就労移行支援事業」の大きく2つに分かれています。いずれにしても、「就労」という社会復帰を大きな目標とする事業です。この制度は、事業者と利用者自身が、次の段階、すなわち就職を目指し活動するものとされています。

「就労継続支援事業」には、法人が就労の場を経営するいわゆる「A型(雇用型)」もあります。これは、最低賃金を保証する収益事業として成り立たす事が求められるものです。

◆新福祉サービス事業の課題

この4月、笠間焼工房「陽(yoo)」は、「精神障害者小規模授産施設」から「障害者就労継続支援事業B型」という新福祉サービス事業に移行しました。

この事業は、就労する意欲はあるが、年齢や能力等によって就労が難しい障害者を対象に、仕事をする場を提供するサービスです。これは、個別給付の福祉サービスのため、1割の自己負担がかかります。

就労継続支援事業の1割負担額は、460円です。月に20日利用した場合、9,200円となります。世帯の状況により、個別に減免措置がありますが、支払った額以上に工賃を得られるかどうかが利用者の関心事となります。

就労継続支援事業を始めたところの多くは、授産施設や作業受注の見通しが立つ共同作業所です。今まで企業の下請け作業を活動内容としてきた授産施設や共同作業所は、月平均の賃金が2〜3千円のところも少なくはありません。そのため、多くの事業所の心配は、「作業工賃をどれ位払えるか」でした。

◆厚労省の対応

これに対し、厚労省は現状を追認する形で、最低月額工賃3千円位という数字を出しました。しかし、工賃3千円では、利用料との差額が「赤字」になる人は働く意味が見出せない事になり、サービスを利用できる人が結果的に制限されます。つまり、最低工賃3千円という設定は事業者にとって意味がありません。

また、厚労省は利用者の作業への参加の自由や仕事の量の強制をしないこと、そして、能力による評価はしないことという指導をしています。過去に低工賃で作業を半強制的にさせていた施設があり、それに対する批判から、利用者の意思による福祉サービス利用という観点で厚労省は指導しているのです。

◆安定した収益事業

しかし、単に利用者の意思を優先すれば、作業の内容や評価について、作業効率や目標設定を難しくします。つまり、高い工賃を支払うことが難しくなるのです。その上、少しでも作業に参加すれば、就労支援サービスを障害者に提供したと認められ、事業者は訓練給付を受けることが出来てしまうことになります。

活動への参加の自由・能力による評価をしない事などの条件で、全体の仕事をプロデュースし、少しでも高額な賃金を還元するためには、作業を安定した収益事業として成り立たせる必要があります。そのため、福祉のための収益事業についての規制は特別示されていません。自由な発想で、内容や収益方法等を組み立てることが出来ることになると思います。

◆期待する新たな展開

笠間焼工房「陽(yoo)」は、活動内容をそのまま継続し、新制度に対応しています。

居場所として活用していた利用者は、地域活動センター「光(KOO)」として開設した事業にユーザー登録しました。

就労継続支援事業となった工房「陽(yoo)」には、7名がメンバーとして残りました。

仕事としての場と創作活動としての場を提供する目的が明確になったことで、関わる私たちの専門性をより活かせる場になりました。

仕事として賃金を得る「場」と言うよりも、陶芸の研修の場として、「お金」に還元できない時間の質を提供する場にしたいとスタッフ一同考えています。

(菅原 淳一)


8. やきもので環境汚染?

最近よく目や耳にする

地球温暖化

温室効果ガス排出削減

やきものを焼くには

二酸化炭素の排出は

避けられません

いい色

求めようとする色を

出すために

還元焼成という燃料を

たくさん使うやり方をします

 

新窯では

一窯焼くのにも

相当な薪を燃やします

最近は思います

こんなに薪を

いっぺんに燃やしても

良いものなのかなと・・・

  

温暖化

異常気象

ニュースで目にするだけではなく

肌で

感じるように

なってきました

こころして作らないと

無駄な

エネルギー消費に

ならないように

            小林 東太


9. 2007年度「子どもの問題研究所」派遣事業

 「子どもの問題研究所」では、市町村から乳幼児健診への相談員派遣依頼を受け、相談員を派遣しています。

 今年度も昨年度と同様、笠間市、行方市、桜川市に派遣対応します。

 1歳6ヶ月健診と3歳児健診では、保健師との問診で言葉の発達や行動面に問題があると判断された親子に対応します。発達の確認と親の不安への相談に応じ、子どもに対する関り方への助言を行なったり、その後のフォローが必要のある場合は、療育機関や子育て支援の場への通所を勧めます。

 行方市では昨年度から5歳児健診を実施しています。5歳児健診は法的な実施義務はありませんが、これまで3歳児健診から就学時健診までの間に発達確認の場がなかったことと、発達障害の問題が就学後に認められるケースが多いことから、実施するに至りました。

 玉造町で実施している「どんぐり」とは、就学前の乳幼児で、発達に問題のある子どもと親が通所する療育教室です。

月1回、音楽療法の内容で実施しています。相談員はいっしょに参加して親子を観察し、それぞれの子どもと親に、必要な支援を確認します。

 何れの健診においても、対応に際しては健診が単なる障害児の振り分けにならないこと、いたずらに親の不安を増すことにならないことに留意しています。

あくまで子ども一人ひとりに応じた適切な支援につながることが必要です。

 幼児療育相談活動としては、日立市母子療育センター「さくらんぼ学級」や日立市内の(社福)つくしんぼ保育園等からの派遣依頼を受け、保護者研修会グループセッションやスタッフグループセッションに対応しています。

学齢期課題に対しては、児童生徒指導・特別支援教育課題対応として、小中学校を訪問し、不適応児童・生徒指導対応に関する具体的提案を行うとともに、石岡市・那珂市等の適応指導教室支援活動を引き続き行います。

児童やその保護者に対する支援だけではなく、県教育研修センター等教育行政機関において、教育相談員等に対して専門的立場からスーパービジョンを行っていることは言うまでもありません。

(高橋 寿子)


10. あなたの職場環境は?

2004年11月、光風会は、従業員のメンタルヘルス支援について、M企業より依頼を受け、「精神福祉相談支援センター(以下略「相談支援センター」)」を開設しました。契約企業の人事部と連携を取りながらこの事業を展開し、丸2年が経過しました。

◆「精神福祉相談支援センター」の「しごと」

「相談支援センター」では、電話による個別相談を中心に支援し、本人の希望や必要に応じて面接相談を行ってきました。支援の結果、相談者が課題に対して自己対処できるようになることも大切ですが、個人が置かれる職場環境等の改善に寄与できることが、「相談支援センター」の使命であると考えています。

働く人の相談をとおして、日本社会の現状が見えてきます。「企業合併」や「配置転換」等がきっかけで、精神的に不安定になったという相談を受ける度に、働き方や雇用のあり方が急激に変化する職場環境の中で、誰もが過重なストレスを抱え込まざるを得ない状況に置かれていることを痛感します。

周知のとおり厚生労働省は、「自殺防止対策」に本腰を入れ始めました。しかし、仕事が原因でのうつ病の発症や自殺、過労死等への対処は、働く人のメンタルヘルスに関わる雇用者側の責任です。それは、企業だけではありません。学校教育機関や医療機関、福祉関係機関で働く教師や医師、看護師、ヘルパー等、あらゆる職場で共通した課題を抱えています。

◆相談したいが・・・

現在、「相談支援センター」は、契約企業・団体の従業員だけではなく、その家族からの相談にも応じています。誰もが、気軽に精神的な課題を相談するには、まだまだ時間が必要ですが、1年ごとに相談者の数は増えています。中には、「相談支援センターへの相談を上司が勧めてくれた」、「社内で掲示を見た」、「人事課の紹介」等、職場の人の働きかけが、相談のきっかけとなった人たちもいます。

 精神的な課題は、本人が気づいていなくても、周囲がその人の変化を感じている場合がよくあります。周囲の人は、そのことをどのように本人に伝えるか、大変気を使うところです。働きかけを間違えば、      

本人が周囲に対する不信感を強め、対応を遅らせる原因にもなり兼ねません。 

そのために、従業員に対して、精神障害の理解と対応等に関するそれぞれの職場環境に応じた研修が重要な支援であると、私たちは位置づけています。

◆休むことは難しい?

当然のことですが、相談者はギリギリの気持ちや、疲れきった状態で電話を掛けてきます。

本人が、「何かおかしい」と思って相談にたどり着くまでには、職場内の人間関係に因る課題であっても、大抵の人が自分自身の能力ややる気の問題として片づけようとする傾向があります。 

また、相談したことで、人事に影響しないかと躊躇してしまうことがあるのも当然のことだと言えます。こうしたことは、競争原理を前提とする企業・団体で働く人たちに対する支援の難しさを示しています。

さらに、相談者は「今の自分にはゆっくり休むことが大切」と感じて休養に入っても、早く復帰しなければという焦りから、休養が休養にならない場合もあります。

「休養すべき時に、きちんと休めなかった。職場に復帰することばかり考えていた。今思えば、しっかり休むことの大切さがわからなかった。自分も職場の人も」と、生活支援センター「風(FOO)」の利用者の一人が語っています。心の病は、傍から分かり難いだけではなく、本人自身も受け入れ難いものなのです。

休養中の相談者を支えるのは家族です。相談者の状況を家族がどのように理解して関わるか。家族に対する支援が、ますます重要になると考えています。

◆精神福祉情報の提供

最近、テレビや新聞等をとおして、うつ病の早期治療を促す広告を目にする機会が増えました。

しかし、心の病に関する情報は、歯科や内科等の情報と異なり、一般市民にとって入り難い社会状況であることに変わりはありません。

それは、他科と比べて、精神科病院の情報公開がほとんど進んでいないことや、未だに精神病に対する偏見・差別が根強く残っているからです。

本人やその家族が精神科医療を受診したこと自体を隠さざるを得ない社会的環境が続いています。

しかし、最近茨城においても、精神障害者自身が精神障害を抱えていることをカミングアウトし、発病経過や精神科入院等の体験を語るようになりました。当会は、NPO「茨精研・ICCAM」との協働事業として、ユーザー・メンバーの協力を得て、企業内メンタルヘルス研修会を企画・開催して来ました。辛い時に、どのような情報や援助が必要かを、具体的に伝えてくれました。

日本社会全体では、富の二極化が進み、「勝ち組、負け組」という言葉を誰もが抵抗無く使っています。そして、問題の全てを、自己責任に摺りかえて考える趨勢にあります。

私たちは、医療機関や地域福祉に関する情報を提供するだけではなく、それぞれの力量に応じた働き方をして「生計を立てる」実感を取り戻す作業を、相談者と共に行う支援を、精神福祉相談と位置づけています。

(高島 真澄)


編集後記

夜空にぽっかり浮かぶ満月。

私たちが目を閉じたとき、月はどこにあるでしょうか? 常識的には、「目を閉じても、今見ていた場所にある」と考えます。再び目をあけるとそこに月はあるのですから。

ところが、相対性理論と並んで有名な量子論によると、「見ている人が誰もいない時、物質(月)はどこか一ヶ所にいるのではなく、『さまざまな場所にいる』といった状態にある」のだそうです。観察されていない物質は、どこにいるかわからない「住所不定」という、かのアインシュタインも「そんなバカな!」と言った理論ですが、今ではすでに物理学的な常識とのこと。

量子論は、極めて東洋的です。

「見られる物」を客観的にとらえることは不可能とし、【見る人―見られる物】をセットとして捉えるのです。

量子論とは次元が違いますが、「障害者」を【見る人―見られる人】のセットとして捉えるか否かによって、社会の対応は異なります。

見る人(社会)を抜きにした「客観的に見た障害者」という存在はあり得ないというのが、国際生活機能分類(ICF)であり、障害者権利条約の思想なのではないかと理解しています。

障害者権利条約で言われている「合理的配慮義務」や「合理的配慮による差別」も、少し前までは「そんなバカな!」ということでしたが、もうすでに世界の常識なのです。        (斎藤 悟)


 

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